2019年12月16日月曜日

翻訳が世界をつなぐ。


 年の瀬も迫ってきている今日この頃、年賀状を前に思案の一時です。今年もいろいろありました。今年を振り返ると元号が変わった5月からの出来事が多く思い出されます。日本だけでなく世界も同様に異常気象に翻弄され、株価はジェットコースターのように乱高下し世界経済の先行きは、見通しがもてません。要になるべき大国諸氏の「私」ファーストで我も我もの勢いになってしまいました。
  38年ぶりの来日となった教皇フランシスコの「日本のおもてなしや優しさは、格別であることは称賛されるべきものだが。世界を見渡して御覧なさい。日本の人たちには、もっと手を差し伸べる勇気をもってほしい」というメッセージが胸に残ります。
 訳:大野光子・Beverley Curran  & 栩木伸明
佐々木幹朗 詩集
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小春日和の大学の階段教室で聴講させていただいたアイルランド文学者・翻訳家大野光子先生の「翻訳がつなぐアートの世界ー英文学を学ぶ楽しさー」。大学1年生に向けたわかりやすい英文学入門のお話しでした。外国語を学ぶことは、相手の国の文化を学ぶことであり、翻訳を通して様々な出会いを得ることができる。翻訳とはそういう協働の仕事でもあることをご自身の翻訳の経験から アイルランドの詩人・日本の詩人・研究者から翻訳の詩に触発された美術家・音楽家との出会いをお話しされました。
 アイルランドが詩や文学をはぐくむ文化であることを知るとともに日本にも詩・文学を愛する文化のあることを思い出しアイルランドに親近感をもつことができました。
 最後に先生が学生さんたちに「身近で優しい絵本でもいいですよ。外国のお友達を見つけて一緒に翻訳に挑戦してごらんなさい」と語りかけられた事が印象的でした。「はじめの一歩」は、人生経験豊かなシニアの後押しがあって実現するように思います。
 毎朝ニュース「世界の窓」ばかりみている私には、世界はばらばら、崩壊寸前のように思えて暗くなるばかり。聴講して思ったことは、『他国の人の詩を翻訳する。日本の詩を紹介する。その国の人との協働による翻訳の仕事のように価値観や文化的背景の理解を深める仕事は、ばらばらの世界に調和をもたらす手がかりになるに違いない』ということです。アフガニスタンの中村哲先生の実践は大きな犠牲を強いましたが、中村先生もまた日々文化や価値観の違いを大切に生きられていたことと思います。ご冥福を祈ります。
 新しい年は、勇気を出して他国の人とのきっかけを作れる年になるよう小さな努力をしようと思います。まずは英語かな?オリンピックもあるし。日本人お得意のおもてなし外交に終わらず、文化や価値観を認め合うホントの外交をしたいものです。

 

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