2019年12月23日月曜日

地球★爆

 今年の災害は、昨年にも増して広範で大きなものになりました。押し流される家、濁流や土砂くずれの映像がいつまでも心に残ります。災害だけではありません。あおり運転の事件に代表されるような自己中心的な出来事が耳目を集めました。内外の指導者が、「何をめざしているのか?」選んだ国民の目が点になってしまうような出来事もひとつやふたつどころではありませんでした。
 
愛知県美術館の11月の「地球★爆」展は、まさに地球の未来に警鐘をならすような展覧会だったと思います。10人の画家による大共作展とあるようにそれぞれの作家の感性を結集したものでした。会場は、大作で埋め尽くされましたが、黒と白で構成されているということもあって疲れることなく最後まで見ることができました。
 キーワードは「戦争」「反戦」「原爆」「破壊」「宇宙」「彼岸」というところでしょうか。重いテーマでしたが洗練された画面は、戦争を知らない世代にも受け入れやすかったようです。作品の前で立ち尽くしている中学生・高校生の一群を見ることができました。
 私的には、山口啓介さんの原爆下の子どもの表情をアップにした象徴的な作品、
清水洋子さんの「枯野ー舟歌」「地球探し、ガリレオ計画」「大暗黒」坪井美穂さんの「イムラム・航海譚 島めぐり」「黒い雨」が印象に残りました。
 芸術家は予知能力を発揮することのできる人種だと思う事があります。 2010年秋に三島の大岡信ことば館で開催された宇佐美圭司展の「大洪水へ」という作品が思い出されました。翌春の3.11東日本大震災。
 




 地球★爆展は、10人の作家が今感じている「戦争の足音」なのでしょうか。『戦争を知らない世代が、戦争に敏感になること』が反戦につながることを感じさせてくれました。
 県美術館のコレクション展の50点近いオットー・ディックスの版画(1924)は、戦時中の生死にかかわる場面を刻んでいました。1986年のクリストの包まれた旧ドイツ帝国国会議事堂、ベルリンのためのプロジェクトの素描は、強い反戦の意志を感じるものでした。
企画展とコレクション展を両方見て回るのは、結構疲れるものですが「戦争」に引きずられて見て回ってしまいました。私も「戦争」「地球★爆」に危機感をもっているかもしれません。
 今年はいろいろ鑑賞する機会に恵まれましたがこれからに繋がり、共感できたMY BEST企画展のひとつでした。来年は、爆はバクでも、人の悪夢を食べる獏に活躍してもらいたいものです。 
 

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