友達に誘われて伝統歌舞伎保存会の研修発表会を国立劇場まで見に行ってきました。
伝統歌舞伎保存会は昭和40年 に「歌舞伎」技芸の継承を目的として設立されました。ちょうど私が小学校から中学校へ成長する思春期にこの会も校倉づくりを模した国立劇場の開場に合わせて活動を始めたわけです。世襲中心の歌舞伎の世界で一般の若者も舞台を踏むチャンスができたといって歌舞伎愛好家の中で話題になっていたことが記憶に残っています。大学ならば社会人コースというところでしょうか。看板役者、座長の道ではありませんが歌舞伎の脇役として芝居の一端を担ってゆく人たちです。その方々がここぞとばかり腕を振るって主役級を務めます。最初ハラハラ
中盤 わくわくどっきりのいい舞台でした。
さて芸能というものはおもしろいものだと今日は気持ちを新らたにしました。12代団十郎さんが「役者の家に生まれると匂い、臭さというものが自然につく」と話していらっしゃいました。野暮な観客の私にはこの臭さはかぎ分けられませんでしたが出演される役者さんたちの一生懸命さに
胸打たれるものがありました。花伝書では、20代から30代は時分の花 今の力に溺れず稽古を重ね真の花(まことのはな)をめざそうと諭しています。なるほど観客は若盛りと珍しさにとびつくものです。とはいっても襟にさした扇子ひとつ 手ぬぐいの所作ひとつ 背中や腰の線、目線と先輩の役者にかなうものではありません。違いをわかっていて静かに精進を見守る。なかなかいい観劇の楽しみ方だと思いました。
考えてみれば 団十郎さん 菊五郎さん 辰之助さん 吉右衛門さん、仁左衛門さんたちの
時分の花を還暦世代は見てきているのです。その後の精進が今の歌舞伎を支えていること
を思うとわが身に振り返り20代30代の一生懸命さと初心を忘れず精進してきただろうかと
やや???
時分の花のあとは やっぱり 真(まこと)の花が見てみたい まずは藤十郎さんかな
真の花になり切れない私は20代、30代の娘たちの時分の花がまぶしくてしかたありません。
ときどき散らしてみたくなる (@_@)