2019年7月2日火曜日

ヘリオトロープのような・・・

 庭先のヘリオトロープの花が満開になりました。先日の音楽会はこの花の色と香りがぴったりです。演奏は、左手のピアニスト「館野泉」さん。前半は吉松隆さん、月足さおりさん、梶谷修さん、光永浩一郎さん作曲のピアノソロ。どの曲も詩情豊かで情景が浮かぶようです。演奏家館野さんの奥深さが伝わる素敵な演奏でした。後半はヴァイオリニスト館野ヤンネさんとのデュオ。塚本一実さん作曲「PUNEUMA」からと久保禎さん作曲今回初演となる「5つの風景画」から”串木野さのさ”、”鹿児島ハンヤ節による”の2曲。
 演奏は、弾きなれたコルトレーン・ピアソラに及び息子さんと息のあったところを楽しむことができました。最後は、「母に捧げる子守唄」という曲を
ピアノソロで。なんか泣けてしまいました。
 館野さんは、フィンランド・ポーランド・日本の交流100年記念行事で演奏会がフィンランドで予定されており、その出発前の一日がこの音楽会とのことでした。
館野泉さんの演奏の力強さと色彩を感じるようなピアノの音色に何も考えず時間を過ごす
楽しさを久しぶりに味合いました。鍵盤から指が離れてからの余韻に力を感じることができました。聴衆は50人ほど。グロトリアンという日本に3台のピアノのうちの一台が置かれている室内は、演奏者の表情も息使いも動きも身近に感じられる緊張感が心地よく感じられました。ホールを主宰されている方の音楽を愛されている気持ちが伝わります。作曲家と演奏家の関係が垣間見られる楽しい懇親会も手作りでした。演奏の熱気を分かち合った懇親会は、渡航前の館野さんのお餞別になったのではないでしょうか。
なぜ「館野泉」?
 私が「館野泉」さんというピアニストを知ったのは、ご病気で倒れられ、ピアニストとして再起を果たされたきっかけを何かの記事で読んだことだったと思います。
「両手がだめでも左手がある」と気づかれたときの気持ちが心に残りました。いつか演奏を聴いてみたいと思っていました。右手はどうしているだろうか?想像していたように右手も同じように演奏をしていました。私にはそのように聞こえました。私自身、長年片麻痺になられた方のリハビリの仕事に携わってきましたが、麻痺した手と麻痺のない手は、中枢でつながっているという思いはいつもありました。「あきらめないで」という気持ちで仕事をしています。館野泉さんの演奏は、その気持ちを応援してくれるものになりました。

*ヘリオトロープは花の名前です。太陽に向かうというギリシア語の意味をもつムラサキ科キダチルリソウの総称。ペルー原産 日本には、明治頃に伝わる。バニラのような甘い香りがあり天然香水として知られている。夏目漱石「三四郎」にも登場。

*月瀬ホール常設ピアノ グロトリアン コンサートロイヤル(2011年製)
グロトリアンは、クララ・シューマンが生涯愛したと伝えられています。ドイツのハンドメイドの名器です。響きは、歌うように艶やかで柔らかいと定評があります。

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