2016年2月19日金曜日

男の花道、女の花道

  X線観測衛星アストローHの発射が悪天候のため延期になりました。春の到来とともに,衛星成功の吉報が流れるのを待ってます。
 サイエンス音痴の妻を持つ夫は,この衛星の反射望遠鏡の製作に長年携わってきました。いよいよこれが,退職前の最後のプロジェクトです。さすがの私も最後の花道が成功するよう願っています。私は宇宙への関心がないわけではありませんが,長年携わった仕事が人間相手でしたので現実とのギャップが大きすぎ,話の接点が見つからなくなってしまっています。きっと若いころには面白がって宇宙の話を聞いていたのでしょうに・・・。
 私たち共働き夫婦が,お互いの仕事に踏み込むことはありませんがこうして無事退職の時期を迎えることができそうでなによりです。昨今は私たちが結婚した頃に比べて共働き夫婦も多くなりました。家族で家事や育児、介護を分担しながら生活しています。回りを見渡せば同世代の女性には、専業主婦あり独身仕事一本とそれぞれに年齢と経験を重ね、頼もしく自立している人が多いことに気づかされます。
 私は介護で中途退職して5年目、看取りも卒業しセカンドライフも軌道に乗ってきたところです。それでもまだまだ仕事に追われる生活や、緊張感が忘れられないようで勝手に仕事を作っては忙しがっています。
 大きなプロジェクトや組織に、長年かかわってきた男性諸氏の退職後生活を、何が支えになってゆくのでしょう。図書館で調べものをしている中高年の男性、車いすを押して母親を介護する男性も、病院の待合い室で多く見かけます。ボランティアに参加している男性も増えているようです。小旅行の男性グループも、よく見かけます。 今まで女、子供が中心の町の集まりもしだいに男性が加わるようになりました。バス旅行を楽しむ人、美術館、音楽会に一人でいらしている男性もよく見かけます。じわじわと退職された団塊世代が、会社から地域社会に浸透してきている感じがします。
 84歳でなくなった父の日記には、退職を控えてこれからやりたいことを実現するんだという気持ちが綴られていました。あ~みんな感じることは、同じなのだなと励まされますが、自分の半生・仕事を振り返る時間はあるようでないもの。結局退職しても何も切り替わらないというのが今の私の感想です。
と言いながら、結局仕事と同じように自分で勝手に目的を作りだし日々を過ごしています。組織やプロジェクトという大きな枠組みが家庭や地域社会に代わるだけです。退職したくらいで自分は変わるものではありませんから仕事をしていたときのように目の前のことに取り組めばいつのまにか新たなプロジェクトや新たな人間関係や環境が見えてくるような気がします。還暦、健康寿命はよくてあと20年かな? 車もあと10年運転できれば立派です。先延ばしせず男も女もそれぞれの花道をどんどん進みましょう。


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