2019年5月7日火曜日
記憶は巡る
六本木交差点から芋洗い坂の緩やかなカーブを道なりに下ってゆくと
六本木中学校の桜の木が満開。その向かいのストライプハウスの大坪美穂さんの
個展会場に入り、四方の壁の作品を見ながらゆっくり階下に下ってゆく。ここまで
来て正面の大きな作品に出合う。大坪さんの大きな作品で印象的なのは、
輝くような空気感。この前の個展の作品もそうでした。たぶん黒の線に苦労された
のだと思う。描かれなかった空間から不思議な空気が伝わってきます、彼岸とでも
いうのでしょうか。
ここからまた作品を見ながら戻ると螺旋階段を上るような面白さがありました。
会場の構造だけでなく、大坪さんの作品がそれぞれに表情を変えるからです。
ブラックホールを彷彿させるような原点ともいえる作品群、年輪が
消えてしまった木、インスタレーションは、?。そして鉛の作品。大坪さんの
作品に横たわる痛みは、静かです。でも深い。
大坪さんは、表現することを生業にして過去・現在・未来を自由に行き来している。
作品を見る楽しみは、自分が経験したことのないような感覚を味わえることだと
思います。鉛色ののっぺりした肌理を手掛かりに痛みの記憶が巡ってきます。
螺旋階段を上っているのか下っているのか。もしかしたら水平移動している
のかもしれない。 次はどんな世界に連れて行ってくれるだろうか。
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