2014年1月22日水曜日

白波五人男 悪党フューチャーする文化って何?

稲瀬川勢揃いの場 wikipedia[白波5人男」から転載
先月に引き続き国立劇場の1月伝統歌舞伎保存会の研修発表会を楽しみました。
演目は「廓三番叟」「弁天娘女男白波」と
音羽屋一門による大喜利のお楽しみつきでした。
主人公の白波5人男は江戸末期 
幕末の盗賊です。窃盗 殺し 万引き 
恐喝 前科の数だけ箔がつくといった
任侠の走りです。作者は河竹黙阿弥さん

 

    
 前科者が舞台で脚光を浴びてしまう社会って何?と今の正義感の強いおばさんたちは目くじらをたてたくなりますが・・・    ちょっとお待ち!!幕末 庶民の生活はいかがなものだったのでしょう。今のように情報が氾濫するわけではなくつましく生活する江戸の庶民100万人 政治のことだって今の私たちが知るほど庶民に見えているわけではありません。先行きも見えず不安なご時世、繰り返す火事・災害そういう庶民の娯楽の頂点に講談・歌舞伎があったわけです。花形役者が演じる前科者を見物の庶民は憧れというよりも「捕まってもいい、掟破ってもいい、 罪つくりでもいい、 精一杯元気でかっこよく生きようぜ」という作者のメッセージに共感していたのではないかしら? 
 前科者だけが罪つくりじゃありません。みんな傷をもつ人間同士 正義なんてくそくらえといった作者の人間洞察と心意気が感じられませんか。芝居に身をまかせる時間も 息詰まるような今の都会生活には欠かせませんわ。役者の品定めや芝居の良しあしを語る前に味わいたいですね。江戸庶民の心意気!!稲瀬川勢ぞろいの場 最後ポリスに囲まれて捕縛寸前にそれぞれが見得をきる。ここが見どころ 感じどころ 形がいいと見ている方も手をたたいて喜ぶことができます。どれだけ観客に手をたたかせられるかが芸の精進のしどころ。「見得きってる場合じゃないだろう」なんて無粋なことは考えない!!
 おばさんも 頑張るきれいな役者さんに ことのほか手をたたきます。頑張りが見えてしまう年頃なんですね。そこに頑張れなくなっている自分がいます。若いってうらやましい。還暦って頑張りの折り返し点ということかしら?
 

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