2017年4月9日日曜日

遊牧民の塩袋

私の遺伝子は1万年前の中央アジアのチエという女性までたどることができます。
イギリスの遺伝子研究所の世界的プロジェクトの結果でした。
 たばこと塩の博物館で開催された丸山コレクション(丸山繁 ギャラリーササーン代表)西アジア遊牧民の染織「塩袋と旅するじゅうたん」は私の遺伝子をくすぐりました。西アジアのバルーチ族・カシュガイ族・クルド族の伝統染織による塩袋とじゅうたんの紹介です。
遊牧民の塩袋は家畜が必要とする塩を入れる袋です。
家畜が袋に首を深く突っ込まないように口の部分が狭くなっています。塩袋もじゅうたんも今や伝統工芸品であり生活につかわれることはなくなりました。
2015年渋谷から移転 たばこと塩の博物館
遊牧民が生活をした西アジアの大地はいまや戦禍のただなかにあります。100年~数十年前までに制作されたのクルド人たちの作った絨毯は圧巻です。どれも何とも言えない赤を基調にしています。命の赤です。また自然界のさまざまな文物が文様となって織りこまれ遊牧民の誇りを今に伝えています。
 満天の星空の下遊牧民の家族がこの絨毯の上に身を寄せ合っている光景が浮かび上がってくるようです。
 自然の脅威にさらされる生活と情報や貨幣で動く社会の脅威にさらされる生活とを比べる術はもちあわせません。が自然に包まれる生活の豊かさをこの赤い絨毯と塩袋が教えてくれます。こうした遊牧民の知恵や手仕事そのものが生きた芸術であるように思えます。
博物館近く業平の桜とスカイツリー


 現代に生きる子孫たちに遊牧民の自由はありません。1万年前人類は大地では遊牧民、海にあればボートピープルだったのではありませんか。


『特定少数の支配層にとって都合のいい国家
でない国家はひとつも存在せず、つまり、
いかなる国家も私物化されているのであって、
国民はさまざまな形で隷属を強いられ、
ために、本来もっと自由で、もっと充実して
いるべきはずの人生が、あらゆる大義名分
によってふみにじられて、のべつコケに
されている』

       丸山健二「生きることは闘うことだ」2017年 朝日新書から抜粋

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