京急本所吾妻橋の駅を出て後ろを振り返るとそこにウルトラマンのようにスカイツリ―がたっている。三つ目通りを木場方面に向かって歩いていると右手に寺がある。ここには奥ゆかしい言われがあり安政の大地震と関東大震災の2度にわたって枯れたにもかかわらず生き延びてきた井戸がある。三つ目通りも東西に走る**通りも意外に幅広い通りだ。
一本筋を入っても広い通りが続いている。江戸時代には大名の別宅が居並ぶ閑静な郊外の名残だろうか。本所中学を横目に高砂部屋まで歩いてゆく。周囲は低層鉄筋のビルが林立しているが家内工業であったり運送業や板金・革工芸の小さい工房であったりする。ビルの隙間をうめるように小さな焼き鳥屋が店を開いていたりする。歩道の両側に所せましと鉢物がならんでいる。昼下がりは静かだ。人通りも少ないがどこかのんびりした空気が漂っている。壁に貼られた祭りのちらしに並んで自衛隊や東日本大震災のボランティアの募集が貼られている。遠くで自転車にのったおばさんが私の方に向かって笑って会釈をしているのがみえた。どうも相手は私の後ろを歩いていた人だったようだ。あいさつとは不思議なものだ。見ず知らずの人であっても笑顔で頭を下げられるとなにか一瞬繋がりができたような錯覚に陥ってしまうからだ。あいさつの威力はたいしたものだ。私みたいなおっちょこちょいは「どこかで会った人かな」なんて首をかしげてしまったりする。もっと喧騒のある街ならそんなことも思わないだろうがこの町を歩いるとなぜか知り合いがいそうな気になる。この人のあいさつが私に威力を発揮したのはこの町の空気感のようなものに私が押されたからではないだろうか。目的地に向かって歩いてはいるけれど五感はいろいろなものを感じている。
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